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ワシントン州のある高校アメフトチームが悲鳴を上げている。試合に勝てないからではない。対戦相手が続々と試合を棄権し、不戦勝が続いているからだ。

シアトル郊外にあるアーチビショップ・マーフィー高校は、開幕週に73-0で圧勝すると、2週目は59-0、3週目も38-0で勝利。3週合わせて170-0という一方的なスコアで対戦相手を圧倒してきた。

この結果を受け、4週目の対戦相手サウス・ウィッドビー高校は試合を棄権。以後、対戦相手の棄権が相次ぎ、13日には4週目以降の6試合中、5試合の不戦勝が確定した。いずれも選手の安全と戦力の不均衡を棄権理由に挙げている。

「試合をやりたい」とアーチビショップ・マーフィーの選手が訴える中、対戦相手校に息子が通うある母親は、「うちの息子は身長5フィート8インチ(173センチ)、体重117パウンド(53キロ)の14歳。6フィート5インチ(198センチ)、330パウンド(150キロ)の18歳に太刀打ちできるわけがない。息子も『試合に出たら殺される』と言っています」とロサンゼルス・タイムスに明かしている。

生徒数が少ない学校では、体が成長していない14歳の選手でも起用せざるを得ず、複数の選手が怪我をすれば交代選手が足りなくなる。

しかし、なぜこれほどの戦力不均衡が生じるのか?

ワシントン州では生徒数に応じて、高校スポーツのチームを6つの区分に分けている。最大区分は4Aで生徒数1,252人以上。最小区分は1Bで26人以上、89人以下。チームスポーツでは生徒数が多い学校ほど有利となるため、レギュラーシーズンの大半は同じ地区の同じ区分のチームと試合を行い、プレーオフでは同じ区分の地区代表とトーナメント戦を行って優勝チームを決める。

生徒数525人のアーチビショップ・マーフィー高校は、472人以上、990人以下の2Aに所属。つまり、対戦相手の大半は同じ2Aの土俵で戦う中規模校だ。

しかし、カトリック系の私立校で、公立校とはコーチ陣やトレーニング施設など、アメフトチームに注げる資力に大差がある。また、学区内に住む選手しか通えない公立高校とは異なり、50マイルも離れた住所の有能選手に奨学金を与えて通学させることもできる。このため、高校生ながら245パウンド(110キロ)級の選手が7人も揃い、先発オフェンスライン5人の合計体重は1,500パウンド(680キロ)にも上る。

生徒数は少ないながら、イーストサイド・カトリック高校やシアトル・プレップ高校のように、1区分上の3Aに自ら希望して所属している私立高校もある。あまりにも戦力差のある区分で常勝するより、均衡の取れた区分でしのぎを削った方が、チームにとっても選手個人にとっても有利と判断した結果だ。

アーチビショップ・マーフィー校もオフシーズンに近郊地区の3Aや4A高校が所属するカンファレンスへの編入を試みたが、許可されなかった。すでにチーム数が多く、これ以上増やせないというのが表向きの理由だが、広範囲から有能選手をリクルートできる私立高校に編入されては迷惑というのが既存加盟校の本音だ。

14日のホームゲームはホームカミング・ゲームのはずだったが、対戦相手が棄権したため、OBをかき集めて作った即席チームとフラッグフットボールの試合をすることになった。チームにはすでに州内のPac-12校から奨学金オファーを手にしている選手もいる。しかし、これから奨学金オファーを狙う選手にとって、不戦勝続きの今季、試合映像が残らないのは大きな痛手だ。

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