スティーラーズ、タイタンズ、シーホークスの3チームは国歌斉唱中に選手はフィールドに立たないことに決定。スティーラーズのマイク・トムリン監督はその理由をこう説明しています。

今日は国歌斉唱時に選手はフィールドに出ない。国歌をないがしろにしているのではない。この状況に身を置かないためだ。

どの選手も選択を強いられるべきではない。国歌斉唱に起立したい選手がどっちの味方につくかの選択を強いられるべきではないし、別の行為を取りたい選手がそうでない選手から孤立させられるべきでもない。

だから今日は国歌斉唱に立ち会わない。チームで決めたことだ。全員出ない。今日は試合をするために来た。それが目的だ。試合に出て勝つことだ。

しかし、ソルジャー・フィールドでのベアーズ戦前の国歌斉唱が始まると、一人だけ左タックルのアレハンドロ・ビラヌエバがフィールドへつながるトンネル出口付近で左胸に手を当てて立っていました。

ビラヌエバは陸軍士官学校を卒業後、3年間米国陸軍の精鋭部隊に所属。3回もアフガニスタンの戦地へ向かった後、リージョナルコンバインでドラフト外契約をつかんだ選手です。知名度は低いかもしれませんが、昨季はNFLや他のスポーツの中継番組によく流れていた軍人家族専門の保険会社USAAのCMに夫人と一緒に出ていたので、アメリカではあのCMの選手と言えば分かる人は多いかもしれません。

チームで一人だけ国歌斉唱時に起立したビラヌエバは、翌週のジャージー販売数でNFLトップへ浮上。8月に大統領上級顧問辞任へ追い込まれたスティーブ・バノンが復職したオルタナ右翼ニュースサイト『ブライトバート』でも取り上げられ、不起立反対派から英雄扱いを受けています。しかし、実際はチームの決断に一人だけ反していたのではなかったようです。

ビラヌエバは試合翌日の記者会見で、国歌斉唱中に一人だけトンネル出口で立つことになった背景を説明しました。試合前夜のチームミーティングで選手は全員フィールドに出ないと決めた後、ビラヌエバは自分は元軍人という立場にあり、せめてトンネルの出口で起立するのはいいか?とキャプテンの一人であるQBベン・ロスリスバーガーに相談したようです。

ロスリスバーガーはこれを承諾。チームキャプテン全員がビラヌエバの背後に立つことで合意しましたが、試合開催地はめったに行かないNFCのスタジアム。国歌が始まる直前にビラヌエバを先頭にロッカールームからトンネルへ向かおうとすると、国歌直前の行事の参加者がフィールドから大勢引き上げてくるのにぶつかり、キャプテン達はビラヌエバの後についていけなくなりました。それで一人だけ立つことになったようです。

残念ながら、この計画を知っていたのはキャプテンのみ。監督やキャプテン以外の選手には知らされていませんでした。監督とチームメイトに謝罪した後、ビラヌエバは記者会見で「トムリン監督の顔に泥を塗った。それは誰の責任でもなく、自分のせいだ。チームメイトの顔にも泥を塗った。それも自分のせいだ」と平謝り。「一人で起立している自分の写真を見る度に恥ずかしい」とも話しています。

ただ、国歌斉唱時に起立しないことを、国旗や軍人に対する侮辱だと批判されるのと同様に、国歌斉唱時に起立した選手が平謝りしなければならないのも、おかしな話です。

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