ビラヌエバは記者会見で、チームの中には起立したい選手もいれば、起立したくない選手もいる。ただ、起立したいという選手が黒人差別の事実を否定しているわけではなく、起立したくない選手が国旗や軍人を侮辱しているわけではないのは明らかだと話しています。

その一方で、トランプ大統領は起立しない行為が提起している問題には一切触れず、不起立は国旗への侮辱という点だけを指摘しています。自身の支持者は主に白人で不起立反対派。大統領のマイクというメガホンを使って意見を代弁してもらった支持者は喜ぶでしょう。しかし、これではアメリカ国民の大統領ではなく、支持者の大統領と言われても仕方ありません。

やたらと敵と味方の区別をつけて対立させたり、論点をすり替えるのは、この大統領がよく使う手です。バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者がナチスのスローガンを掲げてデモを行い、一人の死者を出した際も、なかなか白人至上主義者を非難できず、あのデモは実は歴史的な銅像(奴隷制度廃止に反対していた南部連合将軍の銅像)の撤去に反対するものだったとしています。

スポーツに政治を持ち込むなと言う人もいますが、支持者を喜ばせ、反対者を不安にさせるだけのものなら、一国の大統領が政治にスポーツを利用すべきでもないでしょう。問題の解決にはなりません。第4週の試合を控えた30日、トランプ大統領はまたもNFLの国歌斉唱に関する書き込みをしています。「大変重要なことだが、NFLの選手は明日に限らず、国歌斉唱時は必ず起立するように。国旗と国へ敬意を示せ!」とあります。

しかし、誰にも強制されることなく、起立したい選手は起立し、片膝をつきたい選手は片膝をつけばよいのではないでしょうか?その自由があってこそアメリカだと思います。

余談ですが・・・

先週末に各地でチームが結束力を見せた後、NFLのジョー・ロックハート広報担当上席副社長は「これが真のロッカールーム・トークだ」と皮肉を放っています。

これは過去の下品なセクハラ発言が昨年11月の大統領選の1ヵ月前に暴露された後、トランプ大統領が謝罪声明でスポーツチームのロッカールームならこういう会話は日常茶飯事と言わんばかりに使った言葉です。当のスポーツ選手からは「俺たちはロッカールームでそんな下品な話はしてない」と反論されています。

ちなみにこのロックハート副社長は1998年から200年まで当時のビル・クリントン大統領の報道官だった人です。ご存知の通り、クリントン大統領夫人は昨年の大統領選の一般投票でトランプ大統領の得票数を上回ったものの、選挙人の得票数で下回って敗れたヒラリーです。

2 Comments

  • みっちー より:

    不起立問題の記事、読ませていただきました。
    漠然と背景は分かってましたが、それぞれのチームの
    対応の意味がより理解出来ました。
    何が答えかは分かりませんが、もっとスポーツ面に
    フォーカスされる報道が増えるといいですね。

    • admin より:

      読んでいただきありがとうございます。
      大事な問題ではありますが、話題になればなるほど、
      この問題を利用したい大統領の思うツボという点に嫌気がさします。
      シーホークスのようにこの問題に対処する選手基金を設けるなど、
      具体的に実を結ぶ形で行動を起こす方がいいかもしれません。

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